お元気ですか?すっかり草木染糸屋さんになった一福です。
染め物に水が必要なのは、よく知られていると思いますが、草木染めでは水質がとても重要です。色を左右すると言っても過言ではありません。手しごと屋一福の綿糸は、絹糸と間違えられるほどの鮮やかさ。その秘密は、綾町の水の美しさにあります。
綾町での最初の草木染講座で衝撃
私が草木染めを習ったのは尼崎市の大学でした。そこでは、何を染めてもほとんどが”落ち着いた”色に染まりました。染色の先生と「複雑な色ですね~!」と言い合ったのを覚えています。
20年ほど前、綾町の生涯学習でハーブを教え、その一環でハーブ染めを楽しみました。それまでの経験から「落ち着いた黄色になると思います」と伝えて染めたところ鮮やかな黄色が染まって驚きました。
「何が違うのだろう?」と考え、たどり着いたのが「水の違い」です。
綾町の水道水がクリアなのを草木染めが証明
草木染めは金属分に反応して発色します。よく知られている泥染めは、”鉄分の多い”泥に漬けて渋い色に発色させます。鉄分が多い水では、ややくすんだ色に発色してしまうのが草木染です。
訊くところによると綾町の水道水源は”規定があるから仕方なく塩素を入れる”そうです。それくらい、綾町の水道水はクリアでおいしい。水の中に金属分が少ないため、草木染めもクリアな色で発色します。では、染色を習った尼崎の大学はどうだったか?防災の面もあるのか、金属タンクの水を全校舎に流しており、金気の匂いがする水でした。尼崎では知らず知らずのうちに鉄分が入っていたのでしょう。
綾町でも、井戸は鉄分の多い水が出る地区があります。そこで草木染めをしていた方は、「井戸水で染めるから少しくすむのよね」とおっしゃっていました。
草木染めは意外と派手なのかもしれない
綾町で草木染めをするようになって、”本来の草木染めはとても鮮やかだったのかも”と思うようになりました。木綿糸ながら、シルケット加工をしたつやのある白糸を染めたときに強く思います。つやのある真っ白な絹糸は平安時代にもあったでしょう。平安時代の貴族たちは、意外とビビットな色を組み合わせて着ていたのでは…と、大学で『源氏物語』を専攻した私は思うのです。
草木染めは、あなただけの色が出る
草木染めは水によって発色が変わるので、同じ素材を同じ染料で染めても、場所(水)が変われば同じ色にはなりません。染めるだけで草木染めは自分だけのカラーが出せるのです。誰にもまねのできない染め。それが草木染めです。
おうちで本格草木染めを学びたい方はこちら
手しごと屋一福WEBショップ